海外市場での成功は「ちょっとの違い」で大きく変わる
海外市場で成功するには、リサーチが不可欠です。単なる翻訳では不十分であり、ターゲット市場の文化や消費者心理を理解し、どこを変え、どこを残すべきかを適切に判断することが重要です。しかし、多くの日本企業が十分な市場リサーチをせず、憶測だけで製品やブランドを調整してしまい、適応の方向を誤ってしまうことが少なくありません。
その結果、「ここはこのままで良かったのに」「こうすれば売れたのに」と惜しい結果になる例が後を絶ちません。
さらに、海外販売の方法そのものが、長期的な成功を左右します。
多くの企業は海外進出の際、商社の利用を検討します。確かに、商社を通じた販売は、流通チャネルの確保や業務の負担軽減といったメリットがあります。しかし、それがすべての企業にとって最適な選択とは限りません。商社が適している企業もあれば、自社で市場開拓した方が長期的な成長につながる企業もあります。
商社を介すると、販売自体は進められても、エンドユーザーのニーズや市場での評価を直接把握することが難しくなります。その結果、ブランドの価値向上や直接の顧客フィードバックを活かした商品改善が遅れる可能性があります。特に、日本国内とは異なる競合環境の中で、自社の商品やサービスがどのように受け止められているのかを把握し、適切な調整を加えることは、海外市場で成功するために不可欠です。
海外販売を「惜しい結果」で終わらせないために



競合相手もセールスポイントも、日本国内と海外市場では異なるかもしれません。また、翻訳=ローカライゼーション(海外市場向けの調整・最適化)ではありません。正しく英語に訳されているかどうかと、それがコピーとして効果的に機能するかは、まったく別の問題です。例えば、「そうだ、京都行こう。」を「京都旅行を思い立った」と訳したら、意味は通じても、広告としてのインパクトは失われてしまいます。翻訳だけでは不十分であり、ターゲット市場に響く表現へと調整することが必要です。このひとステップは、小さなことに見えて、実は明暗を分ける鍵なのです。
その製品のデザインを変える前に、何千部ものチラシを印刷してしまう前に、広告や戦略を実行する前に、ターゲット層がどう感じるのか、製品やサービスの立ち位置はどこなのか、何をどう足し引きすべきなのか。ターゲットに近いパートナーに事前にチェックするだけで、結果は大きく変わります。
スターバックスは日本進出時に一度撤退しましたが、現地パートナーのサザビーと組んで戦略を見直すことで成功しました。同様に、オーストラリア発のライフスタイルカフェ「bills」は、多くの豪レストランが日本進出に苦戦する中、日本のPR会社サニーサイドアップと提携し、適切な戦略で日本国内に8店舗を展開するまでに成功しました。
また、近畿日本ツーリストは、英語の社名を「KNT」にした経緯があります。これは、「近畿」という言葉の響きが英語圏では公式名としてふさわしくない印象を与えるためです。同様に、自動車も各社、名称を変更しています。「ハスラー」、「ベンザ」、「セドリック」、「ロードスター」など、これらの事例は、市場によって受ける印象が異なるため、市場や文化に合わせた適切な名称やブランディングが重要であることを示しています。
日本の市場は縮小し、国内では輸入品や同業他社との競争が激しくなり、価格競争に巻き込まれやすくなっています。そのため、新たに海外市場へと販路を広げ、需要を増やすことは、限られたリソースの中で適切な戦略を立て、より安定した成長を目指すための有効な選択肢の一つです。
私たちは、輸出・海外販売を検討している企業や、すでに海外販売を始めたものの課題を感じている日本の中小企業に向けて、実践的なローカライゼーション(海外市場向けの調整・最適化)のサポートを提供します。
サービス内容

市場リサーチ
海外進出に必要な情報を的確に収集。限られた予算でも実施可能な調査を行い、市場の可能性と感覚を踏まえた販売戦略をサポート

ローカライズ(海外市場向けの最適化)
翻訳にとどまらず、ターゲット市場に合わせた販促コピー、パッケージなど、クリエイティブを「売れる」販促素材へとブラッシュアップ。プレスリリース、チラシなどの英語のマーケティング資料の制作

PR・ブランド価値向上
消費者の信頼と選ばれる理由となるブランド力を構築する英語圏市場向けのPR、トレードショー、広告戦略の提案や、海外におけるデザインや技術賞といった賞の申請に関するお手伝い

海外展開後のサポート
「英語での問い合わせ対応が不安」「社内に対応できるスタッフがいない」「消費税抜きの取引とは」といった輸出・海外販売開始後の課題をサポート
輸出・海外販売の現場から 〜 気づきと提案の実例
名刺のタイトル
ローカライズとは、単なる翻訳ではなく、現地市場を理解し、適した形に「整える」こと。必要なのはターゲット層の常識、視点、感覚をもとに判断することです。翻訳ひとつをとってみても、思わぬところで誤解を招くケースもあります。日本では国家試験や技能検定の資格を「二級〇〇技能士」のように名刺に記載することがあります。これを 「Second Class 〇〇 Technician」 のように訳す例を見かけます。実際ウェブでこれを検索すると、Second Classと翻訳が出てきます。これは英語では「B級」のようなニュアンスを持ち、意図した理解を得られない可能性があります。英語で「資格」や「認定」を示すためには、 “Certificate” “License” “Qualification” などの単語を補足し、「〇〇 Technician Level 2」や「Certified 〇〇 Technician – Level 2」 のように表記した方が、資格の価値が正しく伝わります。
日本語のパッケージはありか、なしか
「日本語のパッケージやラベルのままの方が、日本製であることが強調できて良い」という意見をよく耳にします。しかし、これはケースによります。漢字ばかりのラベルだと、中国製と誤解されることもあります。例えば、日本のビールがオーストラリアに進出した際、日本語の広告をそのまま使って宣伝していました。この場合、「日本のビールが上陸したよ」といったシンプルな訴求メッセージで、商品自体がビールだと一目でわかるため、新たに英語の広告を制作する予算をかけなくても十分に伝わる、と判断したのでしょう。一方、日本では馴染みのある調味料や食品であっても、海外市場ではその存在自体が知られていない場合、日本語だけのパッケージでは消費者に伝わりづらく、購入のハードルが高くなります。また、現地の大手スーパーや流通網に取り扱ってもらうには、ローカライズされていないパッケージでは不利だと言えるでしょう。最初からローカライズする予算がない場合は、売上が出てきたタイミングで、現地の市場に適したパッケージや表記の調整を検討することもできるでしょう。

プラを使用せず、紙箱のパッケージで好感度アップ
国際的基準で判断
陶器、ジュエリー、食材など、日本から送られる製品の多くが、プチプチなどのプラスチック製梱包材で包まれています。しかし、先進国の多くがプラスチック削減に取り組んでいる中で、日本の企業の感覚と国際的な基準にズレがあると感じられることが少なくありません。また、日本では、例えば、ピーラーなどの調理器具は通常、袋や保護材に包まれた状態で販売されることが一般的ですが、多くの先進国では衛生的な梱包よりも、持続可能で環境に配慮した包装が評価される傾向にあります。そのため、日本企業が「良かれと思って」採用した梱包が海外市場の常識と合わず、思わぬマイナス印象を与えてしまうことがあります。場合によっては、環境意識の高い消費者の不信感を招くことにもなりかねません。パッケージにかける予算を製品に回したい、と感じるかもしれません。「これは必要」「これはやめた方がいい」という市場に合った見極めが必要です。

環境配慮はプラスではなく常識に
言語の壁はA Iで解決
「ウェブサイトを英語にしたが、英語で問い合わせが来たらどうしよう…」そんな不安な声もよく聞きます。輸出・海外販売に興味があっても、言語の壁を理由に躊躇する企業は少なくありません。ただ、実際にやってみると、「サポートはそれほど必要なかった」「英語の問い合わせは来るけれど、大丈夫だった」 というケースがほとんどです。今はA Iがコミュニケーションを手伝ってくれる時代。ロシア語、ポルトガル語、ペルシャ語、と相手はそのまま自分の言語でメッセージを送ってきます。それと同じく、こちらも日本語で返信しても通じるのです。頼るべきところはその道のプロに。でも、簡単に解決できることを外注して予算を費やすことはおすすめしません。「不安が払拭できるまで伴走します」「何かあったらお手伝いします」というのは、バックアップがあるならやってみよう、と踏み出す企業がほとんどだからです。案ずるより産むが易し。実際は、多くが最初の不安を乗り越えた後、「思ったより問題なかった」と感じています。

「輸出が増えて助かりました。」そのひと言が、私たちの何よりの原動力です。ローカライズは、1億二千万人から、81億人と勝負する土俵へつながる扉。貴社の製品やサービスが求められている市場は、すぐそこにあるかもしれません。私たちとともに、一歩海外へ飛び出してみませんか?
プロフィール

中尾 祐子
Yuko NAKAO
日本の製品やサービスの海外市場向けローカライズに加え、海外企業の日本市場適応の経験も豊富。企業から一般消費者向けまで、マーケティング、PR、広告、イベントを通じて多角的に支援してきた実績を活かし、きめ細かなローカライズを提供する。東京で生まれ育ち、シドニーのNSW州立マクオリー大学で言語学を専攻。卒業後、日本に帰国し、PR・広告業界でキャリアをスタート。外資系の広告代理店や観光マーケティング機関で勤務し、独立移住ビザ(PR部門)でオーストラリアの永住権を取得。シドニー五輪の準備事務局にヘッドハントされたのを機に再び渡豪。その後、出版業界に入り、機内誌や多言語メディアの取材・コンテンツ、広告制作を手掛ける会社を起業。結婚、出産と共にキャリアをリセット。
日本に海外のことを発信する仕事から、日本のものづくりを海外に紹介する仕事へと情熱がシフトし、EC事業を立ち上げる。オーストラリアを拠点に、日本の製品やサービスを50カ国以上の海外市場に販売。現在は、工具・陶器・食品を中心に取り扱いながら、日本企業の海外販売をサポートするコンサルティングも提供。日本の企業が海外市場に挑戦する際、市場調査や消費者感覚を理解せずに憶測で進めることで商機を逃すケースを多く見てきた経験から、リサーチと戦略の重要性を伝え、実践的なサポートを行っている。
国内市場の縮小により価格競争が激化し、十分な利益を確保できずに苦しむ企業も多い中、海外に販路を広げ、輸出を伸ばすことで業績を上げた実例も見てきた。持続可能な適正価格での販売と、新しい販路を築くことでより安定した経営が可能になると確信している。
日本に3つの拠点を持ち、長年日本と海外を行き来しながら社会人経験を積んできた稀なバックグラウンドを持つ。特に先進国の市場のトレンドの変化に敏感で、海外販売において「今、何が求められているのか」をタイムリーに捉えることを得意とする。

市川 美南子
Minako Ichikawa Smart
国際政治経済の専門家。英国キール大学博士課程(政治学・国際関係論)・東京大学修士課程(国際関係論)修了。シドニー大学で 10 年間、国際関係論の講師・研究員として活躍した後、東京大学で4年間教育・研究支援に従事。その後シドニーに戻る。幼少期から多文化環境に身を置き、アフリカ、ロシア、イギリス、オーストラリアなどでの滞在経験を通じ、異なる文化やビジネス環境を深く理解する国際感覚を培う。学術論文や政府・企業向けの英訳・和訳にとどまらず、プレゼンテーション資料作成の実績も多数。豊富な海外経験を活かし、企業の海外市場進出を支援。逐次通訳や講義通訳の経験も豊富で、建築、福祉・医療、バイオテクノロジー、法律、産業デザインなど、多様な分野に対応できるリサーチ力を強みとする。海外市場での販売戦略を考える上で不可欠な競合分析やビジネスチャンスの見極をスピーディに実施。本格的な市場調査にも精通する一方で、中小企業にとって負担の大きい調査を最適化し、予算内で必要なデータを的確に抽出する手法にも⻑ける。また、企業が海外のプロダクト賞や助成金の申請を行う際には、市場調査を通じて必要な要件を整理し、申請書類の作成に関する助言を行うなど、戦略的なサポートも提供する。
